INTERVEW
有限会社オカダイゴム

ちょっと難題の方が、燃える

インタビュー風景
松永
本日はお時間をいただき、ありがとうございます。早速なんですが、オカダイゴム社さんはどんなものを作っていらっしゃるんですか。
岡部
産業用のゴム部品を主に扱ってます。3分の1くらいは電力会社関連ですね。ゴムって電気を通さないイメージだと思うんですけど、普通のゴムだとカーボンとかいろんな薬品が入っていて、実際には電気を通すんですよ。でも電力関係だと、何万ボルトもの電気を通さずにいられるものでなくてはいけない。なのでうちは本当に絶縁性のゴムを売りに出しています。
松永
そうなんですね。今回大堀相馬焼を知っていただいたきっかけは、テレビでしたよね。
岡部
そうですね。焼いているシーンを見たりヒビ入るときの音のことを聞いたりしていて、こだわってるなあって。ちょっと自分の考えに近いところがあるなと思って。ちょうど記念品のことを考えているタイミングだったので、これも縁だと思ってお願いさせていただきました。でも素人考えで、勝手に一回り大きくして特注品で、なんて言ったけど、後から随分無謀なこと言っちゃったなと思って(笑)
松永
いえいえ(笑)このサイズの二重構造って正直作ったことがなかったので、ある意味チャレンジできたなと。
岡部
やったことのないことでも、やっぱり受けちゃいますよね。
松永
そうですね。ちょっと難題の方が、燃えるんですよね。
岡部
そうなんですよ。うちも結構変わった案件をお受けすることがあって。自分の大事にしていたラジコンカーのタイヤが壊れちゃったんだけど作ってくれないかとか、犬とか猫用の哺乳瓶の人口乳首とか、猫の義眼、黒いゴムできれいな真円の光沢のあるものを作ってくれとか。
松永
そうなんですか!作られるものの幅が随分と広いんですね。
岡部
ずっと同じことやってるのって、うちの社員はあまり好きじゃないんですよ。できるかどうかはわからないけど、とにかく断りはしない。今まで扱ってきたものも1,000、2,000点以上あるんですが、その方が面白いなと思ってますね。

ゴム製品も焼き物も”生もの”

インタビュー風景
松永
ものづくりの難しさを感じることってあると思うんですが、どんな場面で感じられますか。
岡部
焼き物の土もそうでしょうけど、ゴムも生ものって言われているので、一筋縄ではいかないですよね。温度管理もちゃんとしないと、どんどん傷んで来ちゃうんで、お肉とかを扱っているようなものです。それにそれぞれ製品を作るときに材料の配合は決まってるんですけど、ちょっとした具合で同じ具合に作れなかったりとか。焼き物も、例えば季節によって作り方が変わったりしませんか。
松永
季節は大丈夫です。ただ、震災後に場所が移ったので、そこは最初苦労しました。もともと沿岸部にいたんですが、震災後は中通りに移動したので、風向きとかが全く違って、それで釜の温度が変わってしまったりとか。
岡部
うちも3年前に葛飾から移転する前はできていたことが、こっちにきたらできなくなっちゃったんですよ。ゴムを成型する時点で金属なりに焼き付けることがあるんですが、くっつかなくなったんです。何がいけないんだろうと思っていたら、川沿いなので湿度が高いんですよね。仕方がないから除湿機で部屋ごと除湿したりしていました。
松永
川があるだけで全然違うんですか。
岡部
全然違います。
松永
おもしろいですね。

言葉にならなくても伝わる、
ものづくりへの想い

インタビュー風景
松永
先ほど、テレビを見ていて考えに近しいものを感じたとおっしゃっていただきましたが、どんなところに共感してくださったのですか。
岡部
何か、言葉でうまく言い表しにくいんですが、ものづくりへのこだわりが伝わってきたというか。焼いているときのこととか、職人さんが楽しそうに話されていたんですよ。それを見て、なんかやっつけ仕事じゃないなっていう。商売なんでね、お金になんなきゃしょうがないんですけど、それよりもいいもの作ろうという想いが前面に来ている。その辺りのこだわりはなんとなく通じるものがあるなと思いましたし、今もとても刺激になっていますね。
松永
ありがとうございます。今回40周年を迎えられて、50周年に向けて何か思いはありますか。
岡部
今世代交代を考えているんですよね。考えが古臭くなる前に、次の世代に任せていきたいなと。今があるのって、これまでのご縁によるところが本当に大きい。お客様が安心する形で、次の世代に引き継いでいきたいと思っています。
松永
今日はものづくりという切り口から共通点が見えて来て、とても勉強になりました。ありがとうございました。

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