INTERVEW
大堀相馬焼で、新コンセプトの日本酒が味わえる
醸造所兼バー

2018年7月、
東京の人気スポットに醸造所兼バーが完成

インタビュー風景
松永
念願の自社醸造所オープン、おめでとうございます!3年ほど前の事業立ち上げ時から何かとご一緒させていただいていますが、対談は初めてですね。
稲川
そうですね。松永さんとは同い年の起業家で、酒器と日本酒という相性の良さもあって、いろんなところでコラボレーションさせていただいてきましたよね。
松永
今回オープンされたSAKE醸造所兼バー「Whim SAKE & TAPAS」は、WAKAZEさんの新進気鋭な日本酒と創作タパスが楽しめるという、お洒落なバーですよね。中には、作りたてのお酒がすぐ飲めるとも聞いています。とても画期的です。
日本酒造りのベンチャーとして目覚ましく成長されていますが、WAKAZEさんのコンセプトを改めて伺いたいです。
稲川
僕らは日本酒が世界に認められるものになるように、新しいコンセプトの日本酒の開発・自社ブランド商品の販売を行ってきました。飲んだ瞬間、圧倒的に美味しいと言ってもらえる酒づくりにこだわり、どぶろくからフレーバーSAKEまでつくっています。オーク樽で熟成させたORBIAという酒は、洋食とペアリングするための日本酒として。FONIAは発酵の段階で山椒などの和のハーブを織り込んだ華やかな日本酒として開発しました。うちのSAKEは卸ではなく小売店さんに直接販売していて、この3年ほどで全国の半数以上の都道府県で扱っていただいてます。

これまでの酒づくりは委託醸造(既存の酒蔵に製造を委託する方法)で進めてきたんです。でも今回自社で製造機能ができることで、新たな酒づくりがどんどん試せますし、酒蔵さんに委託するときも数値、温度管理といった細かな部分まで伝えられるようになります。いい日本酒ができれば、すぐお客様に飲んでもらって、反応をもらえる。食事とのペアリングなど、新たな味わい方の情報発信拠点にもできますよね。ここを拠点に、開発も発信も加速的にできると思っています。

どぶろくの個性を活かせる酒器が、
大堀相馬焼だった。

インタビュー風景
稲川
松永さんの大堀相馬焼は、この店でどぶろくを提供するときに使わせてもらってるんですけど、超好評ですよ。女性のお客様からは「これ、可愛い!」っていう声がよく聴こえてきます。何より、どぶろくの美味しさが引き立つ酒器ですよね。
松永
ありがとうございます。そういっていただけて嬉しいです。
稲川
何が違うかというと、まず飲み口が違うんです。なめらかで口当たりが良くて、適度に厚みがある。これがどぶろくのテクスチャーを引き立たせてくれます。日本酒をはじめとした醸造酒の分類って、普通「香り」「味」の2軸しかないんですよ。この店も提供する料理が洋食というのもあって、そうした2軸を感じられるワイングラスをメインで使おうと思っていました。だけどどぶろくは、2次元的なモノクロの世界に「テクスチャー」という第3の軸を持っている、画期的なお酒です。いろんな酒器を試してみた結果、松永さんのグラスが一番どぶろくのテクチャーが活きる、と思ってお願いしました。

タンブラーにはWAKAZEのロゴが入っていますが、ロゴの細部まで再現していただいて、とてもいいものに仕上がりました。
松永
稲川さんに、こうして新しい店でも使っていただけて光栄です。

「日本酒を世界酒に」
世界の醸造酒市場に挑戦

インタビュー風景
松永
稲川さんとお話ししていると、日本酒づくりに対する半端ない熱量が伝わって来ますが、今後の展望についてはどのように考えているんですか。
稲川
今年いっぱいはこの三軒茶屋の酒蔵を中心に国内でトライを重ねるつもりですが、来年からは世界に進出したいと思ってます。来年はフランスに酒蔵を立ち上げる計画なんです。

ヨーロッパで挑戦したい理由はいろいろあるんですが、日本酒というもののレベルを高めるために、世界のハイレベルな酒と戦う必要がある、と思っているのは大きいです。例えばサッカーについて考えた時に、本田圭祐は海外に行って活躍したからこそ技術が磨かれて、結果的に日本に利益をもたらしたのであって、日本でプレーし続けていたらあそこまでビッグにはならなかったはずです。

日本酒の将来を考えた時に、海外で活躍する日本酒が増えるべきだと僕が考えたのは同じ理由です。フランスにいて、めちゃくちゃ美味いワインを飲んだ時なんて、本当に涙が出るほどなんですよ。どうせだったら、そんなクリスチャーノ・ロナウドみたいなワインと戦った方が、強くなるんじゃないかと。例えそこでコテンパンにされてもいいんです。そこでチャレンジを繰り返していくことに意味があると思う。

海外で日本酒づくりを展開しようと思っても、実際に技術があったり、そこに投資できる人はほとんどいない。だから、僕たちWAKAZEがやってみたらいいんじゃないかと思っています。実は日本の中でも、未経験だけど杜氏をやってみたい、酒づくりに関わってみたいと、WAKAZEに応募してきてくれる人は結構多いんです。日本だとなかなか実現できないから、モヤモヤしているんですよね。そういう人たちが、海外で活躍できる場を作りたい。僕らが技術を伝えていって、暖簾分けをしたらいいと思っています。その人たちが蔵を作るようになれば、海外で活躍する日本人侍がどんどん増えていく。その時初めて日本酒は世界酒になると僕は信じています。この三軒茶屋の醸造所は、その始まりだと思っています。世界に出て行く時には、ぜひこの大堀相馬焼の酒器も一緒に!
松永
ありがとうございます!WAKAZEさんによって、日本酒そのものだけでなく、酒づくりの文化が世界に広がっていきそうで楽しみです。

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