大堀相馬焼コラム

「大せとまつり」が浪江町で復活!大堀相馬焼7窯元が一堂に

大堀相馬焼の一大イベント「大せとまつり」が8年半ぶりに復活し、11月24~25日の「復興なみえ町十日市祭」の会場内で開催されました。大堀相馬焼協同組合の組合員である7窯元が出店し、新作を含む自慢の作品を展示したほか、ろくろや絵付けの体験教室も実施。天候にも恵まれ、多くのお客様でにぎわいました。

01大せとまつりノボリ

02陳列の様子

賑わいの陶器市、ろくろも絵付けも大人気

十日市祭そのものが8年ぶりの町内開催で、会場は懐かしい再会の歓声があちこちで聞かれました。「大せとまつり」のコーナーには、春山窯、松永窯、いかりや窯、半谷窯、栖鳳窯、京月窯、休閑窯のテントが勢ぞろい。来場者の中には以前から大堀相馬焼に親しんできた町民の方も多く、窯元との会話もはずみます。窯ごとの特徴をよくご存知の皆さんは、お気に入りの作者の器を次々に手に取っていました。

 

一方、今日初めて大堀相馬焼と接したという方もいて、窯元たちの説明にも力が入ります。
「馬が一、二、三、・・・九頭いるでしょう。これで馬九いく、縁起がいいんですよ」

 

体験コーナーでは、職人の根本清巳さんがろくろの実演を始めると、すぐに人垣ができました。

03ろくろ職人の根本さん

晴天とはいえ11月末の屋外で水を使いながらの作業、「手が凍えるよ」と笑う根本さんですが、体験希望のお子さんが来ると大きな手で小さな手をやさしく包み、土への力を伝えていました。

 

絵付け体験は2種類です。特殊なペンを使ってプラスチックのお皿に好きな絵を描き、持ち帰って電子レンジで焼き付けができる簡単絵付けは、お子さんに大人気でした。

04絵付け体験(子供)

もちろん、本格的な馬の絵に挑戦するのもOK。描き方の手順書も用意されていましたが、この方は干支の「戌」の漢字を描かれていますね(笑)。これもすてきなお皿になりそうです。
05絵付け体験(大人)

また、屋外ステージでは初日、お笑い芸人「母心」による窯元紹介が行われました。終了後には春山窯の小野田さんご夫妻と記念撮影です。

06春山窯と母心

2020年、浪江町内に大堀相馬焼の新拠点誕生へ

その小野田利治さんは、大堀相馬焼協同組合の理事長として「大せとまつり」の復活に尽力してきました。「子どもの頃から楽しみにしていた十日市祭と、同時開催という形で復活できたのは本当にうれしい」と語ります。

07十日市入口

2010年までは浪江町大堀地区で、毎年ゴールデンウィークに行われていた「大せとまつり」。2011年3月の大震災と原発事故による避難で、23あった窯元はバラバラになってしまい、やむなく廃業した窯元も少なくありません。2017年3月末に町の一部で避難指示が解除されましたが、残念ながら大堀地区はまだ帰還困難区域のままです。

そんな中、協同組合は震災の翌年5月には二本松市内に共同窯を作って活動を再開。以来、避難先で再起を図る窯元たちとともに、なんとかこの伝統工芸の灯を絶やさない努力が続けられてきました。そしてこの後、2020年には再び大きな転機が訪れそうです。

「その年、浪江町内にオープン予定の道の駅の一角に、新しく窯を設けた大堀相馬焼の拠点を作る計画です。ただ、再開した窯元たちは新天地に根付きつつあり、(浪江の新拠点との両立は)難しいところもあるのは事実。けれども、やっぱり浪江にあってこその大堀相馬焼ですからね。みんな本当は浪江に戻りたい気持ちはあるはずです。なかなか先は見えないけれど一歩ずつ進んでいきたい」(小野田さん)

 

産地を追われた伝統工芸の試行錯誤は、これからも続きます。が、ここで終わりにしてはいけないという皆の想いがある限り、灯が消えることはありません。その技を次世代に引き継ぐべく、今年度からは20代の地域おこし協力隊員3名が、2つの窯元で修業を開始しました。大堀相馬焼の今後に、引き続きご注目ください。

 

(取材・文・写真・動画=中川雅美 2018年11月)

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