大堀相馬焼コラム

どっちも違って、どちらも良い!伝統工芸品に認められた二つの硯(すずり)の話

こんにちは!
10月に入って最初の日曜日、いかがお過ごしですか?
定番の「⚪︎⚪︎の秋」に、是非、自分の好きな言葉を入れて、今年の秋も楽しく過ごしたいですね。

今回、私が紹介するのは、芸術の秋ということで、観て良し、使って良しの硯のお話です。
特に日本の硯「和硯(わけん)」の中でも歴史が長く、国の伝統工芸品に指定を受けている「赤間硯(あかますずり)」と「雄勝硯(おがつすずり)」の比較をしたいと思います。

山口県宇部市の赤間石から取れる赤間硯は、7〜800年の歴史があり、現存する最古の物は源頼朝によって鶴岡八幡宮に奉納された物とのこと。
あの頼朝に由来すると思うと浪漫を感じますね。

対する宮城県石巻市の雄勝硯は、室町時代に使われていたという口伝が残っています。

どちらも大変、歴史が長いです。

赤間硯は、主に赤みを帯びた石から作られ、細工がしやすいため、色々な形の物があります。
また、乾燥しやすいという理由で地表からではなく、坑道から掘る坑内掘りをしています。

露天掘りの雄勝石(雄勝硯の材料の石の名称)とは、対照的です。
雄勝石は圧縮や曲げに強く、吸水性が低く、化学作用や長い年月にも屈しません。

一言で言うと丈夫。
新しく建て替えた東京駅丸の内口の屋根になっているぐらいです。

また、1日にこのコラムで紹介したように、お皿などにも使用されていたりします。

http://soma-yaki.com/news/pickup-1510.html
そして、硬く緻密な赤間硯に比べ、雄勝硯は粗さ・細かさ、堅さ・柔らかさのバランスの良い物になっています。

・・・つらつらと比較してみましたが、どちらの硯にせよ、最近は墨をするという機会自体が減ってきたことにより、生産が細ってきています。
インターネットで、この記事を読んでいただいているのに恐縮ですが、たまには、硯のことも思い出してあげてください。

秋の夜長に虫の声でも聴きながら墨をすると、心も澄んで、大作が生まれるかもしれません。


様々な形のある赤間硯は、写真でもはっきり分かる赤味が特徴。

宇部観光コンベンション協会ホームページより

http://www.ube-kankou.or.jp/sightseeing/detail.php?id=57

雄勝硯の特徴として、その石質から蓋を作っている物も。

東北の伝統的工芸品ホームページより
http://www.tohoku.meti.go.jp/s_cyusyo/densan-ver3/html/item/miyagi_02.htm

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