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いわきFCと大堀相馬焼がコラボレーション!豆皿に込めた大きな想い
浜通りが活気にあふれた、誰もが訪れたい街となるために。いわきFCは、福島県の「浜通り」と呼ばれる地域のうち、いわき市と双葉郡をホームタウンとするサッカークラブです。「スポーツを通じて社会価値を創造する」をクラブミッションに掲げ、90分間止まらない、倒れない「魂の息吹くフットボール」を展開しています。
2024年の秋、いわきFCはパートナー(スポンサー様)の皆様へ感謝を伝える「パートナーサンクスパーティー」の記念品として、福島県浪江町の伝統的工芸品である大堀相馬焼の豆皿を制作しました。

今回の記事では、いわきFCの営業マネージャー・菊池佳規さんにお話を伺いました。菊池さんが感じる大堀相馬焼の魅力と、豆皿にこめた想いをご紹介します。
「地域のハブ」として浪江町の大堀相馬焼を発信
いわきFCは「地域のハブ(つなぎ役)」を目指し、ホームタウンの魅力を全国に伝える取り組みを行っています。毎年のパートナーサンクスパーティーでは、この取り組みの一環として、ホームタウンの特産品を記念品に選んできました。
2024年の記念品を考え始めた際、菊池さんは真っ先に大堀相馬焼を思い浮かべたといいます。
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浪江町がある浜通り北部は、騎馬武者と馬の祭典「相馬野馬追』が開催される地域。相馬野馬追は千年以上の歴史がある神事で、国の重要無形民族文化財にも指定されています。菊池さんは以前から、浜通り北部に受け継がれる「馬と武士の文化」に魅力を感じていたそうです。
「大堀相馬焼は馬と武士の文化とのかかわりが深く、浜通りを代表する伝統的工芸品でもあります。だからこそ、私は大堀相馬焼をパートナーの皆様に送りたいと考えたんです」
大堀相馬焼には、福島の象徴的なコト・モノを描いた豆皿のシリーズ「ふくしま焼き物旅マップ」があります。菊池さんはそこから、いわきFCのエンブレムを描いた豆皿の着想を得たそうです。
制作を担当することになったのは、創業100年超の歴史を持つ松永窯。いよいよ、サッカーと伝統的工芸品のコラボレーションが動き出しました。
大堀相馬焼の魅力を深めるデザイン
パートナーサンクスパーティーの記念品は、いわきFCを支援しているパートナーの皆様への贈り物です。そのため、菊池さんは豆皿にデザインされたエンブレムにこだわりました。受け取った方が、一目で「いわきFCだ!」と嬉しくなれるように。

デザインを決める際は、チームカラーである「キングレッドと湊ブルー」の2色使いで、エンブレムを忠実に再現する案も出たそうです。しかし、菊池さんはあえて、単色のシンプルなデザインを選択しています。
「大堀相馬焼が持つ特長を生かし、その良さが伝わるデザインにしたいと考えました。それならデザインをシンプルにしたほうが良い。いわきFCをイメージできる赤の色合いと、大堀相馬焼の風合いがあいまって、シンプルですが魅力ある豆皿に仕上がったと思います」
大堀相馬焼の素地には「貫入」と呼ばれる、細かいひびが入る特徴があります。エンブレムの中央に素地を残したことで、美しい貫入がよく見えるようになりました。
また、大堀相馬焼のもう1つの特徴が、左へ疾走する馬の絵「走り駒」です。菊池さんは、どうしても豆皿に走り駒を描きたかったと話します。

「走り駒は大堀相馬焼の象徴ですし、縁起物でもあります。何より、見た目がすごくかっこいいじゃないですか。浪江町の馬の文化を伝える意味でも、走り駒は絶対に入れたかったんです」
エンブレムとチームカラーの赤、貫入と走り駒。今回の豆皿は、いわきFCと大堀相馬焼のアイデンティティが両立したデザインになりました。納品の際は、制作を担当した松永窯の窯主が自らハンドルを握り、西郷村からいわき市まで豆皿を運んだそうです。
今後も続くコラボレーション
サッカー×伝統的工芸品。菊池さんは「今後も大堀相馬焼とのコラボレーションを続けていきたい」と考えています。
「大堀相馬焼といわきFCがコラボグッズを作れば、私たちはクラブの公式ソーシャルメディアでその情報を発信します。そこで初めて大堀相馬焼を知る人も、グッズを購入して触れる人もいるはずです。いわきFCが地域とファン・サポーターを繋ぐハブの役割を果たして、浜通りが誇る伝統的工芸品のファンを増やせたら、本当に嬉しいですね」

そして、相馬野馬追は地域の平和を願って続いてきた伝統行事です。出陣の際、騎馬武者たちはお神酒を「かわらけ」と呼ばれる大堀相馬焼の杯に注いで飲み干し、かわらけをたたき割ります。相馬野馬追とゆかりが深い大堀相馬焼には、浜通りの発展を願ういわきFCに通じるところがあります。
今後はコラボグッズの制作など、いわきFCと大堀相馬焼との連携を積極的に進めたいと語る菊池さん。2015年に誕生したサッカークラブと、300年の歴史を持つ伝統的工芸品が、今後どのような展開を見せていくのか、注目です。
いわきFCと大堀相馬焼の共通点
今回の記事では、いわきFCがパートナーサンクスパーティーの記念品に大堀相馬焼を選んだ背景と、豆皿の制作に込めた想いを紹介しました。
大堀相馬焼の故郷である浪江町は、東日本大震災と原発事故で甚大な被害を受けた地域です。町全体に避難指示が出され、浪江町で伝統を受け継いでいた20軒以上の窯元は、全国へ散り散りになってしまいました。
それでも、大堀相馬焼の文化は砕けませんでした。避難した窯元たちが立ち上がり、それぞれの場所で窯を再建したのです。現在は道の駅なみえに併設する「なみえの技・なりわい館」で、窯元たちの作品を見ることができます。
大災害から伝統を守り抜いた大堀相馬焼と、最後まで倒れずに戦い続けるいわきFC。両者には「強さ」という共通点があります。お互いの強さを掛け合わせたコラボレーションに、今後もご期待ください!