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日本の陶器|水が漏れることが当たり前?育てる器、萩焼
焼き物は一度は憧れる趣味の一つですよね。
美術館や窯に行って色々な焼き物を見たり、体験でも良いから自分で器も作ってみたいなと思う方も多いでしょう。
1990年のアメリカの恋愛映画「ゴースト ニューヨークの幻」で、主人公の二人がろくろを回すシーンが出てくるように、日本人だけでなく、欧米人にとっても焼き物は、ちょっと憧れる趣味なのです。
日本の焼き物は、大きく分けると4つに分類することができます。
土器、陶器、炻器(せっき)、磁器です。
土器は縄文式土器や弥生式土器で知られるように、素焼きの素朴な焼き物です。
上から釉薬も塗られていません。
縄文式と言われるのは、土器の上に縄で模様をつけているからです。
昔の人も、ただ器の形をつくるのでは味気なく感じて、貝殻の凹凸や縄目の模様で器をデザインしたのです。
炻器(せっき)は、陶器と磁器の中間的なもので、備前焼、信楽焼、丹波焼、大谷焼などがあります。
元の土に鉄分が多く含まれるので、できあがりが赤茶色のものが多いのが特徴です。
陶器と磁器の見分け方ですが、簡単に言うと、土鍋やお茶席に出てくる器は陶器になりあす。
白くて薄いものが磁器になります。
陶器は磁器よりも吸水性があります。鍋焼きうどんの器は陶器なのですが、多少は出汁を器が吸うので色が染みてきますよね。
それに比べて磁器の器は、茶渋などがつくことはあっても、漂白すると綺麗に落ちます。
愛知県瀬戸市周辺で作られている焼き物を瀬戸焼と呼びます。
以前は、器のことを「瀬戸物」と呼んでいたほど、瀬戸焼は日本で一般的でした。
例えば、日本ではステープラーのことをホチキス、ホッチキスと呼びますが、これはアメリカから日本に初めて輸入されたステープラーがホッチキス社という会社のものだったからです。
それと同じように、日本では陶器でも磁器でも器のことは何でも瀬戸物と呼んでいたのです。
ちなみに、瀬戸焼は陶器です。
陶器の中でも、わびさびを強く感じる器と言えば萩焼(はぎやき)が挙げられます。
山口県萩市周辺や、山口県長門市、で作られている陶器を萩焼と言います。
土を固めた風合いを活かして、見かけは荒くごつごつしていますが、どこか温かみがあります。
実際に萩焼は目が荒くできていて、新しい萩焼の器は水が漏れることがあるのです。
水が漏れるなんて不良品じゃないかと思われるかもしれませんが、萩焼の場合は普通によくあることなのです。
萩焼は自分で育てる器です。
新しい器を入手して、その器でお茶を繰り返し飲んでいるうちに茶渋が器の細かいひびの中に入って漏れなくなるのです。
萩焼は茶道で使う茶器に使われますが、これは使えば使うほど風合いが出るからです。
使うほどに味が出ることを、昔の人は「萩の七化け」と呼んでいました。